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僕らが旅に出る2^23通りの理由

運転免許を取得した。

普通にまた落ちるかと思った。危ないところだった。ハイウェイに乗ってどこまでも行くぜ。


高校1年生の時の友達について話したい。
彼女はとっても頭が良くて、微笑みながら「物理が好き」とよく話してくれた。私などは習い始める前から物理の事は苦手だろうなと思っていたので(後に物理を選択して残念ながらその予感は大的中した)、そんな人いるんだ!と思って驚いたことを覚えている。

そんな彼女との一番の思い出は、放課後ひたすら2の階乗を計算したことだ。クレープでもなければ制服ディズニーでもなく、無機質な黒板で放課後ひたすら2をかけまくっただけ。
確かその日は生物基礎の授業で、減数分裂について習った。ヒトの染色体は23対で、父親と母親から受け渡されるその組み合わせは2^23通り ですよ、みたいな事を習ったのだと思う。

自分が自分として生まれてきた確率なんて知りたくないわけがない。好奇心の塊みたいな当時まだ15歳の私たちは祖父母の代から考えてとにかく2をかけた。計算結果は5垓を超えた。

5垓!
この数字が生物学的にあっているかはともかく(手計算だったため悲しいかなその望みは薄い)、「垓なんて桁見たことある?」「ない!!」みたいな会話を繰り返すうちに私たちは1時間に1本ほどしかない貴重なバスを逃した。
この時の経験が、自分の中の勉強という概念を支える原体験となっているように思う。


しかし彼女はあまり学校に来なくなり、私が3年生になり受験を終える頃にはもう校舎のどこにも彼女の影もなかった。
去年ふと思い出して連絡をしてみたところ、留学を視野に入れていると教えてくれた。今はもうどこか海外にいるのかもしれない。

アメリカとかヨーロッパとかはたまた中国とか、ここから遠い遠い土地で、5垓という果てしない大きさと、それに触れた感動をたまに思い出してほしいなと思う。彼女が旅に出た理由を、いつかまた会ってぜひ教えてもらいたい、終わり