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大江健三郎『芽むしり仔撃ち』

 

読みました...........。日本語圏に生まれてよかった...............。

 

大江健三郎は2年ほど前に『飼育』と『奇妙な仕事』を読んだのが最初だ。『飼育』を初めて読んだ時の衝撃は凄かった。その頃は完全に精神が廃れていたので無感動に本を消費していたけれどこの作家は1ページ目から圧倒的だった。登場人物たちはみんなどこか外れていて、それなのに全ては湿度や匂い、質感をはっきりと持っていた。この話の中の黒人とは一体なんなのか、打ち砕かれた手が表すものはなにか、自分なりに考えた覚えがある。

そういった経緯で完全に大江健三郎isすごいと思った私は図書室のご自由にどうぞ持っていってねコーナーから『水死』、『個人的な体験』を即かっさらった。が、『水死』がまるで分からずそれっきりとなってしまっていた。

 

さて、長めのブランク期間となってしまったが、本日ようやっと『芽むしり仔撃ち』を読み終わった。まず目次が良すぎる。ドライかつ詩的、ぴったり十章。到着で始まり、追放で終わるなんて、世界一では。。

本文の方もまるで魔法みたいな文章の連続だった。読み進めるうちに僕たちの世界の黴菌がじめじめとこちら側にも侵食するようだった。勘が鋭くない方の読者なので、正直「芽もむしってないし仔(羊とかかな)も撃ってないし一体なんだ?」と思っていた節もあったが、最終章でようやく「そういうことか!」と膝を打った。今日の帰り道はスゲ〜と思い色々考えながら自転車を漕いでいたため楽しかった。

調べると英題は ”Nip the Buds, Shoot the Kids” らしく、勘の鈍い読者にも多少優しい仕様らしい。本当はまだまだ思うところがあるが、知の巨人〜文学編〜の感想を書くのは私にはまだ早すぎると思うし、明日は1限もある。行きの自転車でまた考えたい、終わり。

 

 

 僕は閉じこめられていたどんづまりから、外へ追放されようとしていた。しかし外側でも僕はあいかわらず閉じこめられているだろう。脱出してしまうことは決してできない。内側でも外側でも僕をひねりつぶし締めつけるための硬い指、荒々しい腕は根気づよく待ちうけているのだ。(『芽むしり仔撃ち』第十章より )