betcover!!の魔術および、んoonの魔法

11月1日火曜日、データ無し且つ単位無しであり卒業が危ぶまれているにも関わらず、私は呑気なものでbetcover!!×んoonのツーマンライブが行われる東京渋谷WWWXに1人立っておりました。

卒業が危ぶまれていることは重々承知で、教務課に赴いて「あの、えっと、単位って足りてますか?7月31日締切のレポートを8月に提出したのですが。」などと意味不明な不定愁訴を行うこと数回、明らかにライブに行っている場合ではないのだが、気づいたらチケットを取っていたので仕方なかった。まずライブハウスに行ったことがなかったので、買わされたドリンクチケットの消費タイミングが分からずジントニックを手渡された瞬間に飲み干してしまい、そのうえ普段の私の生活といえば家で虫のようにうずくまっているか研究室の顕微鏡を猫背で眺めているかの二択であるのに、大都会の三密空間に突然放り込まれたことでかなり人酔いを起こしており、倒れるのではないかと思った。ライブはそのような状態で始まった。

強い照明にbetcover!!は良く映えていた。ヘッドフォンから流れてくる曲を音楽だと思い込んでいたのだが、このような音の洪水が音楽なんだと初めて知ったように思った。圧倒されながら見ていて美空ひばりみたいだと思って、変な感想なのだが、それくらい貫禄があってかっこよかった。

んoonの演奏中はずっと、明るくて不思議な夢の中にいるみたいだった。綺麗な高音とハープの透明な音色が響きあい、ぼーっとした多幸感に包まれていた。全体的に静かに興奮しすぎてセトリはあまり記憶にないのだが、Greenを演奏してくれて超嬉しかったことは覚えてる。あとLobbyの照明がピンクでジャケットに合っていて素敵だと思っていた。んoonの曲は普段聴いていても浮遊感が得られて素敵なのだが、生で聴くとその魔力は凄まじく勝手に身体がゆらゆらして、それは全員同じだったらしく、視界に映るものすべてが揺らめいていた。

 

今は結構余裕がない時期なので、閉塞的で魔術的なbetcover!!は家で1人で聴くのが合ってるのかもなあと思った。世界観に没入していくだけの気力を回復させて、もう一度観に行きたいです。新しいアルバムがとても楽しみ。

んoonは心の重さを覆い隠して幸福な夢を見させてくれる本当に魔法のような演奏だった。何も排斥しない透明な明るさ。あー、すごく良かった...。FreewayのLPを購入したので、そちらをたくさん拝聴し、修論を書き、そして、そして......。終わり