砂の女

なんか疲れた。24歳になった。内定式と懇親会の案内が来た。変な奴がいたら、すぐに辞めようと思う。今から強く、そう思っている。

高校生のときのTwitterのフォロワーは浪人して19歳の冬、アカウントを消してしまったが、本当に自殺しただろうか。それとも右も左も恋愛ばかりの世の中で、呑気に同棲でもして、全部なかったことにしているだろうか。その方がきっとずっと良いな。

他人はやはり他人なので、疑おうと思えばいくらでも疑うことが出来る。そのような底のない執着を持ってしまうのが心底嫌になった。みんな、過去を器用に隠蔽し、目の前の異性に平気で愛してると囁くことが出来る。全く頭がおかしい人で溢れかえっていると思う。

安部公房砂の女」を読む。教職としての生活と、地底での砂かきを繰り返す生活に、本質的な差は存在しない。私は今、ひたすら顕微鏡の前に座り、修論に掲載すらされない画像データを一生撮影し、それをUSBに取り込んでいる。砂でも片付ける方がよほど生産的であるように思う。

24歳の目標は、本を読むことにした。全然読んでないけどそれでも、自分にはそれしかないと思った。終わり

8/1

もうめちゃくちゃである。柴田聡子をよく聴いている。スピッツみたいな歌詞があると思う。スピッツの方が洗練された比喩のように感じる。それが全てではないことを彼女の歌は教えてくれた。ふとした思い付きのような言葉の羅列が、想定を大きく超えた世界の眩しさ、夢のような幸福を垣間見せてくれることがあるのだ。

本も読んでない。音楽もそれほど聴いてない。寝たり起きたり午後から大学に行ったりするその程度のことで精一杯で部屋もあんまり片付けられず、それなのにローソンの、サーモンとクリームチーズの生春巻きを買って、美味すぎると思った。

藤田湘子「20週俳句入門」を買った。開始数ページで向こう10年俳句を作り続けることを誓わされる、恐ろしい本である。面白いので読み進めたいのだが、提示される俳句を暗唱しないと先に進めないため足止めを食らう。今日こそ覚えて、次の章を読みたいと思う。

昨年から現在まで

先輩が厳しかった。向こうにしか分からない理由でいつも怒っていた。萎縮するほどしょうもないミスが重なって色んな人に嫌われていると思ったし、実際嫌われていた。自分の昼食も食べられずマウスのエサを交換しているときは結構自嘲的な気分になり、重篤アナフィラキシーに陥ることを心底祈りながら人より多くマウスに噛まれて、手袋の下で血が滲んで滴った。毎日気付けば朝5時になっていた。全体的に能力が低く上手くやれないので、やるべきことが山積するにつれ発表のクオリティも底辺になっていくのが分かり、辞めようと思ったのだが、それすら上手くやれなかった。他人から求められることはもう何一つ出来ないと確信めいたものがあり、家でじっとしていた。自分は昔からこのようであったはずなのに何故か病院に行くことになって、寝付きが悪いわけではないのですが朝5時になってしまいますと言ったら、医者が不思議そうな顔をした。何時間寝ているか答えられず、荒廃した生活を送っていたことに初めて気がついた。死なないと約束出来ますかと聞かれ、あなたと約束するようなことは何一つないと思って、久しぶりに日差しの中を自転車で帰った。

メールに頭が回らないと書いていたがあれはもう大丈夫なのかと、面談中に先生は何故か笑っていて、自分でもなんか笑ってしまった。全部どうでもよく馬鹿げていた。そのようにして、一応は大学に戻った。

研究室の人が、組織の人に迷惑をかけるために死にたくなると言ったが、本当に意味が分からなかった。意味が分からないことだらけなのでどうでもいいと思ってしまった。励ましの言葉もただ音もなく互いの空洞を通り抜けていくようだった。

どこまでも鬱屈した春だった。通りかかった花見会場に浮かれた人がたくさんいて、拍子抜けしたのをよく覚えている。こういう素敵なイベントと自分は無関係でそれはこれからも変わらないのだろうが何故かなんとかなるような気がして、歩道橋の上から、その時は真下の道路ではなく人で溢れる公園を見た。日が随分と長くなっていることに気がついた。涼しい風が桜を揺らしていた。

生きていくにあたっては様々な困難があって、今の自分がそれらを乗り越えられないのは明白なのだが、ふとした瞬間に得られる錯覚に騙されてまた春が過ぎるのをじっと待つ。この繰り返し。桜はいつのまにか散って街中の緑が眩しかった。季節はいつも、気分とか世の中の悲しいこととは無関係に巡り、過ぎ去っていく。私はそうした流れに全く追いつけずに、そのような循環の中にあって周りの風景をぼんやり眺め、ただ美しいと思っていた。終わり

4/18

性被害に遭った女性の記事を読む。この必死の訴えすらTwitterで一瞬のうちに消費され、みんなに、あるいは私に、すぐに忘れ去られるという動かしようのない事実がある。長い一生を被害と向き合って過ごすのはとても苦しいだろうから、自分はそのような目に遭いたくないと思った。自分本位な感想に呆れた。

生活というのは悲惨な現実に余すことなく裏打ちされている、それを時々思い出すだけだ。一つ一つに心を砕いていたら生きていけない。私は何も考えないで、生活を出来る限り体系化して煩雑さを取り除き、毎日大学に行くしかない。出来ないことがとにかく多い。やりたくないことも多かった。終わり

4/6

元気がない。元気がないのは昔からなのに、大げさに薬を2錠飲んで寝ている。気分を前向きにする薬と吐き気を抑える薬だという。後者の効きが悪くて、それで具合が悪いのかもしれない。でも前から同じような感じだったと思う。帰省中、家族にそんな薬は飲むなと言われた。

なんかもう死ぬしかないって気がする。耐えられないこととやるべきことが多すぎてだめだった。今また頑張って耐えてもまたすぐだめになると分かっている。ずっとその繰り返しだった。死ぬしかないって気がした。妹のことを考えると自動的に涙が出た。頭の病気だからじゃなくて、事実を冷静に眺めた上でこう思ってる、と自分では思ってる。他人に助けてもらおうと思ったけど誰かを全部信じることは自分にはどうしても出来なくて更に苦しくなっただけだった。終わり

2/28~3/3

2/28

怒るのかなあと思っていたけど、困ったように笑って、最後に抱きしめてくれたのだった。震えているので泣いているのかと思ったが、アウターのカサカサした面が私の顔を覆っているので見えなかった。

3/1

夜に突然動き出しBOOKOFFHUNTER×HUNTERを6巻までと、2020年5月の短歌研究を購入。短歌がたくさん載っている。

川のベンチでくつろぎすぎて、寒すぎるのにも関わらずスーパー銭湯のようだった。雲は初めは小さくても徐々に大きくなり、ひとつの塊に合流することを知った。

妹、卒業おめでとう、と思ったので、電話でそう言った。

3/2

特になし

3/3

精神科で呼ばれるのを待っている間、挟み撃ちを読もうとしたが全く読めず。短編ですら読めないのに当たり前だと思った。ちびまる子ちゃんが置いてあったので読んだ。面白くて、ありがたいと思った。死なないって約束出来ますかと聞かれて、あなたと約束するようなことはひとつもないと思った。終わり

2/26~2/27

最近暖かいらしい。Twitterでみんな言ってるからそうなんだと思う。自分の右腕を左手でぐっと押して押し戻されるのを待って時間を潰した。川端茅舎の句の漢字が難しいから調べて、それを2ページくらいやってすぐ飽きた。阿吽の旭というのが良いと思ってそれから寝たのかどうか分からない。たまにLINEとか電話が来るのを全部無視した。お前には最初から分かんないんだからもういいよって気がした。動けないから暇だった。そういうときLONG SEASONを聴くと時間がすぐ過ぎるので聴いていた。夢の中で好きな先生から手紙が来ていた。宛名を見ると名字が前のものだった。それを確認して嬉しいと思ったかもしれない。封を切ることなく目覚めてしまって、起きてからもったいないと思った。終わり